私たちは何のために書道を目指すのでしょうか。
日本北陸書道院のさきがけとなった青柳石城は、道を志した者の修行というものは一生涯のものである。私たちは千年はおろか、多くは百年すら生きられるものではない故に、少しでも長く生き、少しでも良い仕事を成し遂げねばならない。損をしながらでも正しい道を歩み誠実に生きる。その方が精神的にどれだけ楽しいか知れないではないか。いかなる災難にあっても動揺せず、心の平静を保って時運の恢興を待つには心の糧が要求される。東洋哲学の神髄の顕現である書道はその心の糧となれるものである。と述べています。
書道を志すきっかけは人それぞれかと思われますが、それを生涯継続する事はたやすいものではありません。書道に限らずとも、何かに情熱を傾け続けるために重要となるのは、それを楽しむ心を持つ事ではないでしょうか。あらゆる芸術、武道、スポーツの世界でも、日常生活でさえ楽しさを感じる事で程よく力が抜け、本来の実力が発揮され素晴らしい作品が創出される、最高の妙技を引き出す事が出来るようになる気がいたします。もちろん書道も例外ではなく楽しむことが大前提になると思います。
幸いなことに私は書家の家系に生まれ、幼少の頃から字を書くことが大好きでしたので、数えきれない程挫折したり、何度か破門になりながらも、その過程も楽しみの一つと捉え今も書の道を歩み続けています。書道を通じてたくさんの師や先達、友人と出会え、家族に恵まれた事も楽しさを継続するための大きな支えと感謝しおります。
日本北陸書道院は、先代の青柳石城、青柳志郎がそうであったように、会員同士だけではなく、会派を超えて書道を愛する皆様と交流させて頂き、研鑽を重ねることで日本文化の一つしての書道の素晴らしさを伝えて行く会です。私もその方針を継承し更に、現代に即した新たな書法、書の楽しさの伝達法を模索し構築しながら次代へと繋がるより素晴らしい会への成長に努めてまいります。
ご賛同いただける一人でも多くの書を愛する皆様のご参加を心待ちし、新たな出会いが出来ることを本当に楽しみにいたしております。何卒よろしくお願い申し上げます。 |